不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「牡丹、ごめん。……好きだよ、愛してる」
疲れきっているせいでまだ起きる気配のない彼女の耳元で愛を囁やけば、牡丹が「んっ」とくぐもった声をもらして身をよじった。
滑らかな肌に触れたら、つい先程まで昂っていた熱が再び脳裏をよぎって罪悪感と悲壮感に胸が覆われた。
ようやく彼女を抱けた今、喜びと幸せで満ちているはずなのに、また彼女を傷つけてしまったことへの苦しさばかりが募っていく。
一緒にいられるだけでいいと思っていた。牡丹がそばにいてくれるだけで満足していたはずなのに、いつのまにか彼女の心も身体もすべてを欲する欲深い自分がいた。
「ほんと、最低だな……」
つぶやいた懺悔は誰にも届かない。
眠る彼女の額にキスをした俺はベッドを降りると、ひとり静かに寝室をあとにした。