不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


「ご予約の高杉様ですね。本日はFuji Loyal(フジロイヤル)へのご宿泊、誠にありがとうございます」


 今日はいわゆる華金。ホテルのフロントにやってくるお客様たちの表情も、どことなく華やいでいる。

 反対にフロントを始めとしたホテルのスタッフたちは、目の回るような忙しさに追われていた。

 二十四時間休み無く稼働している高層ビルは眠ることを知らない。


「こちらがお部屋のカードキーになります。ごゆっくりお過ごしください」


 私の手からカードキーを受け取ったお客様は、慣れた様子でエレベーターに向かっていった。

 隣を歩く女性が絡ませた手にはハイブランドな高級腕時計が光っている。

 だけど、たった今チェックインを済ませたお客様だけでなく、このホテルに訪れるお客様のほとんどが悠然(ゆうぜん)とした空気をまとっていた。

 まぁ、それもそのはず。ここ、【フジロイヤル】は、世界的にも業界的にも評価の高い、国内でも最上級の一流ホテルなのだ。

 都心のランドマークともいえるこの場所には、日本の政財界の要人をはじめ、海外の著名人まで泊まりにくる。

 国内有数の大手企業【Fujiリゾート】が経営している宿泊施設の中でも、今一番勢いと名声を集めるホテルだった。

 
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