不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 

「それじゃあ、お支度が整ったら診察室に戻ってきてください。ご主人も一緒に説明を受けられますか?」

「あ……はい、よろしくお願いします」


 一通りの検査を終え、看護師さんに声をかけられた私は反射的に頷いていた。

 夫である灯は私の内診中、診察室には入れないので廊下で待ってもらっていたんだ。

 もしかしたら、灯は別に妊娠についての説明なんて興味がないかもしれないけど……。

 でも、この病院の評判を調べて決めてくれたのは灯だし、昨日、妊娠を報告したときには喜んでくれていたから、なんとなく一緒に説明を受けたほうがいい気がした。


「奥様の妊娠が確認できました。奥様には先程お伝えしましたが、今は妊娠七週目というところです」


 そして先生の口から妊娠の報告を受けた灯は、思った以上に真剣に話しに耳を傾けてくれた。


「予定日は多少のズレはあるかもしれませんが大体この日で、今日心拍の確認もできたので、なるべく早めに母子手帳をもらってきてくださいね」

「え? 心拍って……もう、子供の心臓が動いているってことですか?」


 先生に聞き返したのは灯だ。

 質問内容と発した言葉が全く同じだったことに気づいた私は、思わず顔を赤くして俯いた。

 対して先生とそばにいた看護師さんは、そんな私の様子をチラリと伺ったあと、朗らかな笑みを浮かべて小さく頷く。

 
< 60 / 174 >

この作品をシェア

pagetop