不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 




「今日から十六週なので、安定期に入ったと言っていいでしょう」


 産婦人科の先生からその言葉が聞けたのは、四回目の妊婦検診のときだった。

 妊娠がわかってから灯と相談して、結局上司である米田さんだけでなく同僚たちにも事情説明をした私は、周囲の理解も得られたおかげで無事に今日という日を迎えられた。

 悪阻中は調子の良い日と悪い日の波があり、通勤するだけでも精いっぱいのときもあった。

 けれどそういう日は周りのみんなが嫌な顔ひとつせずフォローに入ってくれて、どうにか無事に乗り切ることができたのだ。

 改めて自分がフジロイヤルで働けていることと、周囲の人たちに恵まれていることに感謝する日々。

 何より、いつかもし自分が逆の立場になったときは、全力で相手をフォローして力になりたいと強く思った。

 仕事というものは人と人との協力や助け合いで成り立っているということを、私は今回、身を持って実感していた。


「それじゃあ、今日から検査は経腹エコーに切り替えます。そちらのベッドに横になってください。旦那さんも、是非こちらのモニターをご覧になってくださいね」


 先生に言われてベッドに横になれば、看護師さんが手早くエコーをするための準備をしてくれた。

 今日の検診は、灯も一緒だ。

 前回と前々回のときは、どうしても外せない仕事があって来られなかったのだけれど、今回は安定期に入って初めての検診ということもあり、検診にあわせて仕事のスケジュールを組んでくれたらしい。

 
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