あいにくですが、エリート御曹司の蜜愛はお受けいたしかねます。
Chapter8*Midnight Mermaid ***
[1]
高さのあるヘッドボードに背中を預けて座るアキ。
わたしはその上に膝立ちで跨って、その綺麗な顔に覆いかぶさるように唇を合わせていた。
「コクン」と、彼の喉元が嚥下する音を意識の端で捉えながら、わたしは合わせた唇から少しずつ液体を送り出す。
彼は、はらりと垂れたわたしの横髪に長い指を通し、それを掻き上げながらわたしの頭に手を添えた。
「んっ、」
口の中の液体がなくなりきる直前。アキの舌がわたしの方へ侵入し、咥内に残る麦のしずくを拭っていく。口の端から喉元へと伝うひんやりとした感覚。だけどそれくらいでは燃えるように熱い肌は収まりそうもない。
「―――もうひとくち」
「っ、」
唇の表面を触れ合わせながら甘く強請られて、また体温が上昇する。
『のぼせそうだから』とバスルームからやっと脱出できたのに、これじゃあ何の意味もない。
わたしが躊躇していると、アキは「静さん」と呼んで催促した。
***
『あなたが好きだ』
バスルームで言った彼のひと言に、わたしのすべては停止した。
呼吸も思考回路も感覚も。
まるで一時停止ボタンを押されたみたいに。
黙ったままのわたしにしびれを切らしたのか、後ろから抱きしめる腕を解き彼はわたしの体をくるりと自分の方へ向ける。
『静さん……』
困惑気味に名前を呼ばれたけれど、口を開くことすら出来ないでいた。
高さのあるヘッドボードに背中を預けて座るアキ。
わたしはその上に膝立ちで跨って、その綺麗な顔に覆いかぶさるように唇を合わせていた。
「コクン」と、彼の喉元が嚥下する音を意識の端で捉えながら、わたしは合わせた唇から少しずつ液体を送り出す。
彼は、はらりと垂れたわたしの横髪に長い指を通し、それを掻き上げながらわたしの頭に手を添えた。
「んっ、」
口の中の液体がなくなりきる直前。アキの舌がわたしの方へ侵入し、咥内に残る麦のしずくを拭っていく。口の端から喉元へと伝うひんやりとした感覚。だけどそれくらいでは燃えるように熱い肌は収まりそうもない。
「―――もうひとくち」
「っ、」
唇の表面を触れ合わせながら甘く強請られて、また体温が上昇する。
『のぼせそうだから』とバスルームからやっと脱出できたのに、これじゃあ何の意味もない。
わたしが躊躇していると、アキは「静さん」と呼んで催促した。
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『あなたが好きだ』
バスルームで言った彼のひと言に、わたしのすべては停止した。
呼吸も思考回路も感覚も。
まるで一時停止ボタンを押されたみたいに。
黙ったままのわたしにしびれを切らしたのか、後ろから抱きしめる腕を解き彼はわたしの体をくるりと自分の方へ向ける。
『静さん……』
困惑気味に名前を呼ばれたけれど、口を開くことすら出来ないでいた。