年上王子の不器用な恋心
取り返しのつかない失言

亜樹たちと会ってから二週間が経っていた。

「いらっしゃいませ」

バイトの子の声に新たにお客さんが店内に入ってきたことを知る。

「いらっしゃ……あっ」

私もそちらに視線を向けると、知り合いの人だったことに気づいた。
あの人は千尋くんと一緒の会社のイケメンの人だ。
確か、名前は立花さん。

「あれ、君は……」

私に気づいた立花さんは笑顔で手を振るので、軽く会釈した。

「あゆさんのお知り合いの人ですか?」

女子大生バイトの笹川美香が小声で聞いてくる。

「うん」

「じゃあ、案内お願いします」

美香ちゃんが気を利かせてくれるので、私は席に案内しようと立花さんの元に向かった。

「何名様ですか?」

「二人で」

そう言った立花さんのそばに綺麗な女性が立っていた。
パッチリ二重に整った顔立ち、年上の人に私が言うのもあれだけど可愛らしい雰囲気をまとった人。
彼女さんだろうか。

「二名様ですね、こちらの席にご案内いたします」

二人をテーブル席へと案内する。

「あゆちゃん、ここで働いていたんだね。バイト?」

席に座った立花さんが話しかけてきた。

「いえ、正社員なんです」

「そうなんだ。あ、この子は高柳の許嫁のあゆちゃん」

「えっ、高柳課長の?」

驚きの表情で私を見る女性。
千尋くんのことを課長だと言ってるので、同じ会社の人なんだろう。
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