お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
【観察対象:小鳥遊 碧】①


昔は、碧のほうがわたしよりも頭がよかった。
子どもながらにいろんな言葉の意味を知っていたから。


あの頃は、こうしてわたしが彼に勉強を教えることになるとは夢にも思っていなかったな。


「ここまちがってるよ。これはこうするってさっきも言った」
「……あぁ。そうでしたね、すっかり忘れてました」


「ちゃんと覚えておいてね」
「お嬢がもっと俺に手取り足取り教えてくれたら、深く記憶に残るかと思います」


「へ、変なこと言ってないで早く次の問題やるよ!」


家に帰って、すぐに碧の追試のための勉強会。
だけど、1時間とたたないうちに。





──コンコン
襖がノックされて、


「お忙しいところすみません。碧さん、少しお時間いいですか?」


部屋の外から聞こえてくる組員の声。


「お嬢、少し行ってきます」


その声が聞こえてくると碧はわたしにひと言いって、部屋を出ていく。


閉められた襖。

足音が遠のくと、わたしはそっと襖を開けて部屋を出て。
こっそりついて行く。

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