13番目の恋人

俊彦

 子犬なら見に行きたい。けど、妹?何でわざわざ妹?
 
 俺は幼児に興味はない。でも、仕方なくそいつの家へ行った。俺んちとかわらんくらい立派な家だった。
 
 あ、お姉さん綺麗だな。それだけでも来た甲斐あったか、なんて思っていた。
 
「おにぃちゃんの、おともだち?」
 自分の背丈と変わらないくらいのクマのぬいぐるみを引きずりながら、その生き物は俺の前にやってきた。
 
「そうだよ、こんにちは」

 自分から来たくせに。ぱっとクマで顔を隠す。それからちらっと俺をもう一度見る。
 
 で、どっか行った。と、思ったらすぐ戻って来た。何かイヤリング?つけてきた
 
「俊くんが格好いいから、おしゃれしてきたんだって」母親がそう言った。今度は母親の後ろに隠れて恥ずかしそうにしている。
 
 ……え、可愛い。
 
「えへへ」
 
 ……え、何?可愛い!!
 
 ────
 破壊的な可愛さに俺は慶一郎の家に通った。
「また来んの?」って言われても「行く」と。
 
 少しずつ懐いてきた小百合。
「あのねえ、さゆりはねえ、おにぃちゃんとけっこんするんだけどねぇ、としくんもかっこいいとおもう」
 
 あと、一押しだな。二人っきりになった時。
「小百合、兄妹は結婚出来ないんだぞ、俺とはできるぞ!」
「そうなの、じゃあとしくんと結婚する」
 はあ、これを言わせたかった。可愛い!小百合可愛い!!
 
「小百合、明日も来るからな!」

 ────
 
 うーん、思ったより色っぽく育った。だけど、小百合に何かしたら、俺が叩き切ってやる!!
 
 まさか、俺と同い年の男と結婚するなんて思わなかったが……きっと、小百合には年上の男の方がいいと思う。思う。だから、良縁だ。良縁だ。良縁に違いない。
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