君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~

Side Kimihiro



 向かった案内所はちょうど窓口に人の姿もなく、すぐに係が対応に当たってくれた。


「場所はどの辺りになるでしょうか?」

「この、かわうその前の道をこちら側方面にきた、地図で言うとこの辺りです」

「今、そのお子様は……?」

「連れが一緒です。その場を動かないほうがいいと思って、保護した場所で一緒に」

「わかりました。では保護に向かいますね」


 迷子の子どもを見つけると、舞花は一目散に声をかけに向かった。

 見て見ぬフリをしたり、気になりつつも通り過ぎていく大人たちばかりの中で、舞花の迷いない行動はさすがだし頭が下がる。

 親とはぐれ泣いていた子どもも、舞花のあの太陽のような笑顔を向けられると安心したように泣き止み事情を口にした。

 案内所のスタッフと共にさっきの場所まで戻ると、道の端で舞花が男の子と待っていた。

 が、その姿は通りがかる人々の視線を集めていく。


「パパパパパパパパ、パンダ! 黒をとぉーたらシロクマだ! パパパパパパパパ、パンダ? 黒がピンクならいちごみーるく、みたいだね~!」


 歌いながら両手両足を大きく動かし、体操のような動きをしている舞花。それを見て一緒になって踊っている男の子。

 注目を浴びていることなど気にもせず、親とはぐれて不安な男の子を精一杯あやしていたのだろう。

 さっき泣いていた男の子も、今はニコニコ楽しそうだ。

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