君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「あっ、きみ……ひろ、さ──」
初めてのことに戸惑い、体も驚いているのだろう。俺を抱きしめる舞花の両手に更に力が入る。
「舞花……ひとつだけ、聞いてほしい」
挿入の感覚から意識を遠ざけるようにして、耳元に語り掛ける。
「たとえこの先、無くした記憶を取り戻しても、俺は変わらずそばにいる」
また、出会った頃のように、目を合わせて話してくれなくなってしまっても。
触れることができなくなってしまっても。
それでも変わらず、そばにいて愛し、守り続ける。
何かの拍子に記憶が戻ることがあれば、それはいつ訪れるかわからない。
伝えられていなかった想いを口にし伝えると、舞花が「公宏さん」と耳元で俺を呼んだ。
「好き……あなたに、出会えてよかった」
舞花からの言葉は、身も心も深くまで繋がったことを実感させた。