君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
8、呼び覚まされるトラウマ



 季節はすっかり秋めいた十一月に入った。

 日に日に布団の中でもぞもぞするのが気持ちいい季節になってきたことを実感している今日この頃。

 ベッドサイドの目覚まし時計を見遣ると、時刻は六時五分前。

 そろそろベッドから出て行かなくてはいけないとわかっていても、ついつい〝あと少し〟と思ってしまう。


 特に今日みたいに下着だけで目覚めた朝は、布団の中が温かくて外に出るのが余計嫌になる。


「わっ」


 いざ出ようと半身を起こしたところで、背後から腕が巻き付いてきた。

 引き寄せるようにされて、再びベッドの中に引きずり込まれる。


「公宏さん、起きてたんですか?」


 背後から私を包み込んだ公宏さんは、私の後頭部に口づけを落とす。寝起きの体温が温かい。


「今起きた。舞花が出て行こうとするから」

「ごめんなさい。起こしちゃいましたね」

「もう起きるのか? まだいいだろ」


 逃がさないと言わんばかりに脚まで絡めてきて捕まってしまう。

 身動きが取れなくなるくらい密着して、起床早々から私の鼓動は忙しなく動き始めていた。

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