「舞花と別れて、一緒になろうと思ってた相手とはちゃんと別れたんだ。妊娠も、俺と一緒になるためについた嘘だったってわかった」


 そんなこと、もうどうでもいいし、聞きたくもない。

 頭の中がグラグラと大地震でも起きたように、脳みそが激しく揺さぶられていく。


「舞花、ごめん。舞花が男に襲われたトラウマ抱えてて、男が怖いっていうのも知ってて、それでも構わないって付き合ったのに俺、そういうの全部忘れて、舞花に酷いこと言った」


 え……?

 男に、襲われた……?


「本当にごめん。謝っても許してもらえないかもしれないけど、でも、これから一生かけて償っていくから。必ず幸せにするから」


 何を、言ってるの……?


「やめて……もう、やめ──」


 吐き気を催し、動悸が激しく壊れたように打ちつける。

 首をきつく押さえつけられたかのように急に呼吸が困難になって、目の前がぐらついた。

 頭を持って揺さぶられているのではないかと思うような、脳が振動しているような感覚。


「おいっ、舞花──」


 呼びかけられた声が聞こえたときには、頬を強くぶつけた痛みと共に意識を手放していた。