「失礼ですが、彼女とのご関係は」


 初対面で唐突に質問されたにもかかわらず、男は問診の一環とでも勘違いしたのか「はい、自分は──」と素直に話に応じた。


「彼女の婚約者です」


 躊躇なく出てきたそのフレーズに、目の前が一瞬ぐらっと揺れたような感覚に陥った。

 まさか──舞花が突然倒れたという違和感と、見知らぬ男の付き添いということが繋がっていき、頭のどこかで最悪な展開をすでにつくり上げていたのだと思う。

 それが的中して、とにかく自分を落ち着かせようと気づかれないようにゆっくりと深く息を吐きだした。


「婚約者……それは、〝元〟ということだな」


 しかし、抑えようとした感情はもう自分の意思だけでは制御できない。

 このままでは、握りしめている拳の中で爪が手の平に穴を開ける。