「まさか、こんな形で久世先生にお世話になるなんてね……」


 駆けつけた家族の顔を見て、思わず「あっ」と声を上げていた。

 どうして聡子さんが?

 そう思ったとき、彼女が幼稚園教諭だったことと繋がった。

 聡子さんの娘とこんな形で出会うことになるとは思ってもみなかったし、あのときのかわうそパペットの彼女が聡子さんの娘だということにも内心驚いた。

 意識が戻った彼女と面会をした聡子さんから、少し話す時間を取れないかと声をかけられた。

 救急センター奥の人けのないベンチシートに並んで掛けると、聡子さんは「忙しいのに、わざわざありがとうね」とお礼を口にする。


「園の子の付き添いで来たときに、久世先生が診てくれたんだって、あの子が」

「ええ。だからさっき搬送されてきたときに顔見てあれ?って思いましたよ。それで、聡子さんが来たもんだから更にビックリ」


 聡子さんは「本当ね」とふふっと笑う。

 しかし、その横顔はどこか疲労を滲ませている。

 当たり前だ。娘が突然救急搬送されたのだ。