君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
3、動き出した運命



 大粒の雨が窓ガラスに当たる音が聞こえてきて、慌てて店先に出ていく。

 濃紺の暖簾を取り外して見上げた空は、真昼間なのに薄暗く唸り声を上げていた。

 七月に入り、気温は毎日夏日の暑さ。

 梅雨明け宣言はされていないものの、しとしと雨が続いて肌寒いなんて日はほとんどない。

 今日は朝から晴れていたけれど、大気の状態が不安定なのか少し前から雷の音が聞こえ始めた。


「降ってきたわね」


 カラカラと入り口の引き戸を閉めて振り返ると、母がカウンターの向こうから店内の窓ガラスを眺めている。


「ランチの時間帯と被らなくて良かったね」


 でも、少し前に出て行った最後のお客さんは濡れていないだろうかと気にかかる。

 母が持つ小料理屋は、夕方六時から十一時までの営業に加え、昼十二時から二時のランチタイムの営業も行っている。

 土日は幼稚園が休みだから、予定がないときはこうして母のお店の手伝いをすることもよくある。

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