悪魔が気に入るお飾り人形!
※ 愛の勇者と悪の博士、二人のひととき
「…元気で、いてくれたらいいな…」

「そうだな……」

真っ暗になった夜空を、二人で抱きしめ合いながら飛ぶ。
レイさんはいつもみたいなレイさんらしい姿に戻っている。

(このほうが落ち着く……)

「…眠いのか?今日は名残惜しいけど、風呂入ったら寝るか!ホタルも疲れたろ。」

「はい…」

私は心地良さを感じて、レイさんの身体に腕を回したまま目を閉じた。

(温かい……。お父さん…笑ってくれた……きっと大丈夫…。)


帰ってきて二人でお風呂に入って、私は胸がいっぱいなのもあって、二人分の夕食は軽目にした。
でも、そんな小さなこともすごく幸せに感じた。

「レイさん…」

「何だ、ホタル?」

「好き…大好き…!」

「俺も大好きだ、ホタル…!」

二人で笑い合って、ベッドに入って抱きしめ合って……
眠りに落ちた。


今日も楽しそうにアルバイトに出かけるレイさんを見送ると、私は着替えてからいつも通り、家の掃除を始めた。

(私もお仕事、始めたほうがいいよね…。何ができるかなあ…?何をしてみたいかなあ……?)

レイさんと通える場所…レイさんといられる時間が取れる場所……

私は一日中そんなことを考えながら、家のことを片付けた。

(明日レイさんに、アルバイト先のクォーツさんのところの近くまで、連れて行ってもらおう…そこで一生懸命お仕事探してみよう…!)


(お母さん、お父さんが私に、幸せに、って言ってくれたよ…頑張らなくちゃね…)

「ただいまホタル〜!」

「おかえりなさい、レイさん…!」

ウェイターさん姿の私が出迎える。

「…お前、フワッとした格好のほうが似合うな…。あとは、何も着ないか……あ、少し顔赤くなった!」

「…レイさんが、そんなこと言うから…」

「何も手につかなくなるから、可愛がるのはあとだな!さ、飯を食おう!」

「うん…!」


二人のお風呂が終わると着替えの時間。

「え…これ着るの…??」

「嫌か?」

「嫌じゃないけど……分かった…!」

「ありがとな!俺も着るからさ!…ドアまだ開けるなよ?」

…小さい子のよく観る、変身少女アニメに出てくるような、変身した女の子の服。しかも私の着られるサイズの…

『ラブリー勇者 ロリキューティー』変身セット

(…レイさん…なんでいつも、私にピッタリのサイズの服、見つけてこられるんだろう…??)

「……終わったか〜?」

私のいる寝室の隣の部屋から、レイさんの声がする。

「え、うん…」

ガチャ、とドアが開いて現れたのは、黒縁メガネに白衣を着たレイさんだった。

「…博士…??」
(…意外と似合うかも…)

「よ〜し…『現れたな勇者…!今日こそは我が実験の餌食にしてくれる!』」

「え…もう…!?」

「『覚悟しろ〜…!』」

レイさんが楽しそうに、私の腰に巻いた長いリボンを外した。

「きゃっ…!」

レイさんはヒョイっと私を抱えると、ベッドにポンと置いた。

「っと〜、『…お前を隅からすみまでしっかり調べてやる!お前の愛がどこから生まれるのかをな!』」

(…こういうのをきっと、芸達者、って言うんだ…)

そんなことをぼんやり考えていた私の腕はいつの間にか、外したリボンで後ろ縛り。

「え、あ…!」

「『隙だらけだな。まずはここからだ…』」
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