悪魔が気に入るお飾り人形!
着せ替え少女の食事の支度
なんだか暖かい…
私はゆっくりと身体を動かして、そっと目を開けた。

「…私……あれ、制服……」

起きて見てみると、私が着ていたのは、さっき脱がされかけた自分の制服じゃなかった。
黒と白が基調の、フリフリのレースがたくさん付いたワンピース。なんか重いから髪にも何かつけてあるみたい。
鏡が無いから分からないけど…

「…痛い……」

身体の奥に鈍い痛みを感じた。

(…私…人間じゃない男の人に、無理やりされちゃったんだ…。好きな人でもないのに、キスも…)

そう思った途端、私はなんだか、自分がさらに空っぽになったような気がした。口がうっすら開いて、瞬きをしたら涙が静かに流れていった。

「人形…そっかぁ……」

開いた口からは、乾いた小さな呟きだけが出てきた。


それからどれだけ経ったかわからないけれど、近くのドアが開いた。

「逃げ出そうともしないなんて、お前は良いドールだな!」

さっきの男の人が、私を見て笑って部屋に入ってくる。

「感度も良いみたいだしな!俺のものにピッタリだ、気に入った!…思ったとおり、ゴスロリも良く似合うな…」

「あの……私の…制服……」

「あぁ、あれか。さっきみたいな半脱ぎにするのはいいけど、しっかり着せると色気も無いしな。しばらく考える間はいろんなものを着せるつもりだ!」

彼は嬉しそうにまた笑った。

「……。」

「ゴスロリ着せたまま抱くのも悪くなさそうだしな〜。」

「あ、あの……また…するんですか……?」

その私の不安な声すらかき消すような、明るく屈託のない笑顔で、彼は笑って言った。

「当たり前だろ!しっかり吟味して、悔いの無いようにお前を人形にしてやらないとな!」

「どうして…私……」

「ああ、なんで自分を選んだか?お前は感情の起伏が普通より穏やかみたいでな、強い想いがないから、魂との連動が薄いんだよ。だから魂と切り離しやすい。あとは身体が腐らないようにするだけで人形に出来るんだ。」

彼は楽しそうに続けた。

「見た目も身体の相性も悪くないし、人形に最適なんだよ!俺も一体くらい欲しくてな、いいのを探してたらお前が見つかった、ってわけ!」

彼に悪気は全く無さそう。でも、感情が薄いと言われて変な気分になった。

「……。」

「…にしても、折れそうな腕だな…食ってるか?壊れやすい人形はゴメンだ。…餌付けでもしておくか!」

彼は楽しそうに部屋を出ていった。
私の荷物はどこかに隠されて、持っていたカバンも付けていた腕時計も、制服も見当たらない。部屋にも時計が無いので時間がわからない。

でも今頃はたぶん普通なら、家で勉強している時間かな…。お父さんが怒りながら帰ってきて、お酒を飲んで私を叩くような、そんな時間……
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