君がくれた花言葉
君との出会い
それから僕の入院生活が始まった。

病院食は美味しくなかったし満足できると言ったら嘘になるが、それしか出てこないからそれを食べるしかなかった。
僕がいる病室は今のところ僕しかいないらしいのでずっと1人で退屈だった。だから僕は一日のほとんどを病室の近くにある読書スペースで過ごした。
僕がいる病棟のこの階には小学生から高校生ぐらいの年齢層の人たちがいた。
だから僕は変に気を遣うこともなく今までよりも十分伸びやかに過ごせた。

そんなこんなで1週間が経とうとしていた。
今日も本でも読みに行くか。そう思って立った瞬間…
ガラガラガラ

「あっれ〜?!同室の人いないって言われたのに。」

「え、っと、」

「でも部屋番あってるのよね〜。まぁいっか。」

「いや、あの、ど、どちらさまで?」

「あ!挨拶遅れました!今日から同じ部屋で過ごします!櫻優月です!よろしくどうぞ!」

「あ、えっ、と、うん、よろしく。」

「内豊くんは歳いくつ?」

「えっ、なんで名前…。」

「あぁごめんごめん!ベッドに下村内豊って紙貼ってあったから。」

「あぁ。そういう事か。歳は17。櫻さんは?」

「私も17!一緒だね!優月でいいよ!」

櫻優月……。どこかで聞いた気がするな…。
櫻優月…さくらゆづき…

「…!!あっ!」

「……!どうしたの急に!びっくりしたじゃない!」

「あぁごめん!その、驚かせるつもりはなかったんだ。ただその、もしかして優月って北原高校かな?」

「すっご〜い!なんで知ってるの?もしかして超能力とか??」

「いや、そんなんじゃないよ。同じクラスに櫻優月っていうやつがいるんだけど誰も見た事ないし学校も来てないみたいだからもしかしたら優月かなって…。」

「そういうことね。多分それ私。2-Cでしょ?‪」

「あ、うん、そう。2-C。」

その日優月との会話はこれで終わった。
あの時僕がもっと話しかけていたら少しは君の力になれただろうか。
< 3 / 16 >

この作品をシェア

pagetop