ねこ先輩に「好き」を伝える方法。

保健室の匂い。

「芽衣。保健室ついたよ」



奏多先輩の言葉に顔を上げる。

いつの間にか保健室についていたんだ……。


奏多先輩が保健室のドアを開けてくれる。

消毒液の匂いがした。

ガラン、とした保健室。

保健室の先生はいなかった。



「とりあえず、この椅子に座って」



椅子を差し出してくれる奏多先輩。

お礼を言って腰掛ける私。



「……膝から血が出ているね」



消毒液と絆創膏を持ってきてくれる奏多先輩の手際の良さ。

……もう、授業が始まっている時間だろう。

それなのに、手当てしてもらって申し訳ないな。


傷の部分が消毒液にしみた。

痛みを我慢しているけれど、奏多先輩は鋭くて。



「もう少し我慢していてね」



その優しさが、私の胸を締め付けた。

手当してくれている奏多先輩を見つめる。

私の視線には奏多先輩、気づいていないのかな。


こっちを見て欲しい。

私を見て欲しい。

そう思えば思うほど、切なくなる。
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