イケメン年下男子との甘々同居生活♪
 酔った感じのまま、片づけを終えてお風呂に入って遅めの就寝時間になってしまった。

「ふぅ、さすがに疲れましたね」

 ベッドの上で疲れている姿をみて、まだお酒が残っている私は彼を抱きしめて胸に顔を埋めさせる。

「さ、紗香さん?」

「こうしていると疲れって飛んでいかない? 本当は寝るべきなんだろうけど」

「確かに、なんだろうこう凄くリラックスしますね好きな人に抱きしめられると」

 自分もそれは経験したことがある。
 日々のストレスが軽減される気がした。
 だから、私にできることこれぐらいしかできないけれど、少しでも彼を癒してあげられるならと思っていたが……。

「な、なにをやっているのかしら?」

 ゴソゴソと手が動き出したかと思ったら、なぜか私の胸をフニフニともみ始める。

「い、いや、ほら疲れていると余計増すっていうじゃないですか……」

「――ッ!」

 何を意味のわからないことをって、言おうとする前にカリっと先端を甘噛みされてしまう。
 一瞬で背筋に甘美な刺激が流れ、口から吐息が漏れてしまう。
 
「ちょ、ちょっともう遅いから」

 時計を確認すると真夜中に近づきつつあった。
 さすがに、明日に残ってしまう伝えようにもエスカレートしていく樹くんの愛撫に私の体は力を失いっていく。

「ごめんなさい、でも……」

 ぐいっと熱をもった箇所が太ももに押し付けれられると、さらに手の動きが活発になり首筋を這う舌に私は感じてしまう。
 手を使って、彼の頭を離そうとするも力が入らない。
 人差し指を口に入れられ、顔は胸を左手は私の大切な部分を刺激していく。

「紗香さん、大好きです」

 ズルい、そんな甘えた声で言われてしまうと抵抗という気は無くなり、身を任せると喜んだ彼は刺激を強めていく。
 

***

 やめておけばよかった。
 なんて、思わずにはいられない! この気だるさ、半端ない。
 仕事へ向かうための合図であるアラームが鳴りやまないでいる。

 だって、止めるのも億劫なほど体が動かない。

「ちょっと強引にでもやめておくべきだったかも……」

 なんとか手をのばして鳴りやませるも、体を持ち上げることができない。
 具体的に言うと、腰にまったく力が入らなかった。

「二回なんて、二回も」

 ブツブツと呟きながらノソノソとベッドから抜け出して、着替えを探していく。
 だけど、言葉では止めておけばよかったなんて言っているが、心に関してはかなりスッキリしている。
 
「私の体、正直すぎる」

 自分でも二十代前半のような体力は無いと分かっているのだけど、相手が若すぎるのでそちらのペースでついつい行ってしまうと、ごっそりと体力をもっていかれた。
 でも、この朝の気だるい感じは何度味わっても嫌いにはなれない。

 もう一度気合を入れて、起き上がると冷えた空気が体を包み込む。
 急いで着替えてからリビングに行くと、用意された朝ご飯が目に入る。

「凄いわね、本当に感心するわ」

 男性ってなんで行為が終わると、スッと眠れるのだろう。
 私は余韻を引きずってしばらく起きているのに……いや、あの寝顔を見れるのは良いのだが、正直羨ましい。
 それでも、私より早く起きてご飯まで作って出かけている。

「頑張りすぎんなよ」

 誰もいない部屋に彼の姿を思い浮かべて話しかけた。
 お互いの想いを確認し合ってから、体を重ねる回数は増えたのは間違いないのだけれど、多すぎませんかね? 昔の記憶を遡っても、こんなに多かったかな? 

「ま、まさか、樹くんが普通で私の性欲が増している?」

 体は疲れていたりするのに、彼に求められると心のどこかで嬉しくもあり、素直に体をあずけてしまっている。
 それに、女性ってどこかのタイミングで性欲が増すって聞いたような……?

「馬鹿なこと考えていないで、支度しなくちゃ」

 今日も美味しいご飯を食べて、食器を洗い仕事へ向かって行く。
 さすがに家を出るときには、気だるさは抜けており逆に心はスッキリしているので、足取りは軽やかだった。

 今日は早く帰ってくると聞いていたので、自分も仕事を残さずに終えて帰宅したい。
 平日でも二人でいる時間をもっと増やせないかと常に考えているが、中々うまくはいかないでいた。

「贅沢よね」

 自分の悩みに対し贅沢と表現してみるが、実際そうだと思う。
 ただ、帰って淡泊な毎日を過ごしていたのが急に変わる。
 お互いの趣味やプライベートの時間も大切にしたいって思っていた時期もあったけれど、気が付くと一緒にいた。
 
「雪、降るかしら」

 通勤電車の窓の外に見える景色に、どこか雪の気配を感じ取る。
 雪国の人にはアレかもしれないけど、私は少しの量だったら雪は好きだった。
 どこか神秘的で、綺麗な存在に感動してしまう。

「今年の冬はどうなるかしら」
 
 イヤホンから流れてくる音楽が冬一色になっていく。
 恋の歌や未来を明るくしたいと願う曲、儚さと綺麗さが合わさった感じが多いような気がして、ちょっとだけ音量を上げて聴くと音楽は私の鼓動に直接流れ込んできた。

 電車から降りて、外に出ると鉛色の空が出迎えてくれる。
 白い息が視界の端を彩り、カツカツとアスファルトの上をリズムよく歩いていく。
 歌に恋人の姿を重ねると、心がポっと火照る感じは初めてかもしれない。
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