お見合い相手が変態御曹司でした

3. お見合い相手とデートしました

 木島さんに誘われて、週末は根津神社のつつじ祭りに行くことになった。ふたりでお祭りとか、かなりデートっぽい。

 当日、木島さんはわざわざ家まで迎えに来てくれたので、母は本人を目の当たりにして、イケメンイケメンと浮かれていた。父は何も言わないけどニコニコしていたので、もしうまくいけば社の利益になるからうれしいのだろう。……何となく生贄の気分だった。

 木島さんは、この前会った時はスーツだったけど、今日はラフな格好をしていて実年齢よりも若く見える。白い丸襟のシャツにネイビーのシャツを重ねて、黒のボトムスというシンプルなスタイルだったのに、とても格好いい。美形って得だなと思う。


 私は生まれも育ちも東京だけど、つつじの季節に根津神社を参拝するのは初めて。起伏のある境内の斜面に色鮮やかなつつじが咲き乱れている様相は、花の波が押し寄せてくるようだった。満開のつつじを眺めながら、木島さんが言った。

「ここには約百種、三千株のつつじがあるそうですよ」
「そうなんですか! 凄いですねえ、とっても綺麗です!」
「つつじのあとは、紫陽花も綺麗ですよ」
「見てみたいです」

 そう返事した後で(あれ、これって暗にデートに誘われてるのかなあ)とドキドキした。

 丘をくだりながら、私が少しよろけた時に、ごく自然に木島さんが私を支えてくれた。
 木島さんは優しく微笑んでいた。超絶美形だ。老若男女問わず、皆が木島さんを見ている。
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