私の…手…! プロポーズは大好きな花に囲まれて。
  宝木さんの会社のホームページには最新の写真がアップされており、宝木さんと年配の男性が握手をしていて、


 内容を読んでも私になんか分からないけど会社にとってすごい事なのだろう。


  私が気になったのはそこではない。


 本当に気づかなければ良かった。

撮影場所は社長室、デスク横にアレンジが置いてあって写真の隅に一緒に写っている。



 同じ花材で活けてあるだけ、そう思うとしたけど、見つけてしまった。


 花の中に葵の🅰のピックがさしてあり、アップにするとやっぱり私の作品。


 私では無いのに、そこに私がいるような錯覚になっていく、特別扱いをされているようで口元がゆるみ、嬉しさがこみ上げる。

 ダメ、勘違いをしてはいけない、あれは花であって私では無い。そう思い直すと切なくて。



 「……雨」空は青く澄み渡っているのに強く降っていて、こんな天気初めて見た!

 天気雨なんて本当にあったんだ、凄い!


 キレイ、雨がキラキラしてる、雨粒がまるで色んな色の小さな小さな、ドロップに見えてきて道に一つ一つ溶けてゆく。

 飛び出して、はしゃぎたい気持ち。 

キラキラした雨に打たれたら、私の全てのキズも洗い流され何も無くなった心の中に、新しい新芽が芽生え花となり、かすみ草の小さな白いフワフワした心に戻れるかぁ?


 まるで天気雨は人の心の中みたいだ。

 わたしが気づかなかっただけで人の心は天気雨。



 晴も雨も花には絶対必要。

 
 花だけではなく人にも必要なのかもね。 

  「会いたい」天気雨のせい?

自分からこんな言葉が出るなんて!


 思わず荒れた私の手が視界に入る、心が一気に現実に引き戻され切なくなって。
 

  「雨に打たれてくれば良かった」


 表にいるもう一人の私が壊れかけた箱にカギかけ直す。


 「これでいいんだよね」つぶやく


      




  

 






 

 








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