捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています

昌也side

完全に千佳に避けられてるな…

せっかく今日診察についてくれたのに必要最低限しか話してくれない。

患者さんへ向ける優しい視線は俺には向かない。

それどころか目も合わない。

千佳の患者さんへの優しい声かけや態度を懐かしく思う。

そうだ、こんな千佳の姿に惹かれたんだ。

患者さんの立場に立ち、考えることができる彼女に俺の医者としての立場や倫理観、価値観…色々思うところがあった。

治療だけしていればいいわけではない。
患者さんの背景や想いを汲み取らなければ…。
自分が思う最善と患者さんの思う最善は違うのだと千佳から学んだんだった。

もう少しで俺は自分の力に溺れ、力を振り回すような医者になりかねなかった。




もう無理なのか…。
俺は待っててもらえなかった、と言うことか。

諦めなければならないのはわかる。

千佳は子供さえいたんだから。

でも…あの子の父親とうまくいかなかったのか、千佳は旧姓で働いている。

結婚はしなかったのか??

聞きたいことはたくさんあるのに…
俺の胸は鷲掴みされたかのように苦しい。

このままでいいのか?
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