放課後、雨が降ったとき


『ベタなワンシーンだな』って。


私は冷たい雨に打たれながら、一人の不良少年とダンボール箱に入った捨て猫を遠目から見つめていた。


……漫画みたいにあの猫を抱いて家に連れて帰ったりするんだろうか?


そしたら私はそんな彼のギャップに萌えて恋に落ちちゃって、毎日が色付いたものになるのだろうか?



────恋愛にうつつを抜かして、なにもない寂しさを埋めることが出来るだろうか。



そんなくだらない妄想をしていると、しゃがみこんでいた彼が、がさごそとカバンを漁り始めた。


そこからしっかりとカバンに入れていたらしい折りたたみ傘を取り出すと、それを開いて猫の方へと傾ける。


ここからだと猫の様子は見えないけれど、雨をしのげて幾分かマシにはなって小さな幸せを得ているんだろうなと思った。


でも、優しさを猫へと全振りしているせいで当然彼は傘からはみ出て、その金色の頭へと重たい雨粒が容赦なく降りかかり続ける。


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