LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「多分だが、お前は妊娠してる。
俺の子供を」


そう言う篤さんの顔は真剣で。


冗談を言っているようには、見えなくて。


「でも、一度しかしてないのに」


篤さんと一度なのもそうだけど、
私は、その行為を、人生でまだ一度しかしていないのに。


なのに、妊娠なんてするわけない。



「一度でも、する時はすんだよ。

俺も、思う所があるから、そう思うわけだしよ」


「思う所?」


「付けてねぇのもそうだけど、けっこう我慢してたから。
なんていうか、そういう事だ」


全然意味が分かんない。


けど、



「そうなんですね」


そう頷いておいた。



「お前、昨日の昼冷やし中華食ってたし。
いつもけっこうガッツリ食ってたのに、ちょっとそれも引っ掛かってた」


確かに、私は昨日も冷やし中華だった。


篤さん、関係を持ってからも私の事なんか空気と変わらないくらい見もしないって思っていたのに。


そうやって私の事見ていたんだ。



「私、妊娠してるんでしょうか?」


そう言葉にすると、突然不安になって来る。


どうしよう、と。


「妊娠検査薬っていうのか。
ここら辺の薬局この時間でも開いてるから、
買って帰るか」


「妊娠検査薬…」


それをドラッグストアなんかで見掛ける事は度々有ったけど、
まさか、自分がそれを使う日が来るなんて。


「とりあえず、一緒に帰るか?
連れて帰っていいなら、また俺の家に」



今、何時なんだろうと思いながら、
その篤さんの言葉に頷いた。


母親には、今日は遅くなるとLINEしているけど、
帰らないとは連絡してないので。



今日は帰らない、と連絡しないと。


悪いけど、一人暮らしのミヤコの名前を借りよう。

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