君と旅の途中
3,誕生日会
「「穂希ちゃん、お誕生日おめでとう!」」
パン、パンっと乾いた音が響き渡り、色とりどりなものが飛び散った。
全員で息をそろえクラッカーを鳴らすと、穂希は満面の笑みを浮かべて小首を傾げる。
「えへへ、ありがとう!」
今日は九月十日。
穂希の誕生日当日だ。
結局穂希の誕生日パーティは俺の家で開かれて、今日は穂希と穂希の母親がそろってうちに遊びに来ている。
少し照れながら頬を緩ませる穂希の前に、俺は料理が盛られた皿を置いた。
「はい、母さんめちゃくちゃ張り切って作ってたんだからな。遠慮せず食べろよ」
「何言ってんの都生、私が遠慮なんてするとでも? 都生の家で?」
「まぁ、そうだろうな。いつもバクバク豚のように食らいついてるもんな」
「え、今豚って言った? 空耳?」
「豚? 空耳じゃないか? 俺は豚みたいにバクバク食ってるって言ったんだよ」
「結局悪口やん」
そんな風にいつも通りの会話をしていると、両家の母親がほほえましそうにニコニコと見つめる。