君と旅の途中
少し心配になって、恐る恐る声をかけた。
「穂希? 何かあったのか」
『あはは、何もないよ? っていうか、今日の時は優しいんだね』
囁くような声に不安がさえあい煽られて、俺は無意識に胸のあたりの服をつかんだ。
『ねぇ、都生』
「ん?」
『私って何だと思う?』
「え?」
私って何だと思う……どういう意味だ?
俺にとって穂希はどんな存在かってことか?
そう解釈して、俺は迷いつつも本音を口に出すことにした。
「穂希は……大事な、幼馴染だよ」
『あはっ。ありがとう。都生が真面目に答えるって珍しいね。……でもさ』
クスクスと明るい笑みがぴたりと止む。