君と旅の途中
6,誰のせい?
「おはよう」
「あっ。おはよう真澄君」
朝登校すると、扉付近に立っているクラスメイトの女子があくび交じりに挨拶を返してくれる。
穂希がいなくなってから、早数週間前。
俺の世界はもう普段通りの日常を取り戻しつつあった。
いつも通りクラスメイトに挨拶をして、授業を受けて、家に帰って、寝る。
そんないたって普通な現実。
……何の変哲もなくて、とてもつまらない、そんな現実。
まぁ、俺はこの日常に満足しているから、別にいいんだけど。
……それにしても、思ったよりも穂希の事を引きずっていないな。
いつの間にか、穂希がいないことが普通になって、いつか、完全に忘れてしまうんだろうか。