きらめく星と沈黙の月
『どうしたんだよ。何かあった?』


『な…んでもない…っ。大丈夫だよ…あたしなら、大丈夫だから…っっ』


わざとらしい演技。


どうせ涙なんて出ていない。


だけど、それを信じてくれる人はいない。


誰もが瑠璃の味方で、私の味方なんていない。


『…なにこの空気。誰が瑠璃を泣かせたんだよ』


珍しく碧が怒ってる。


その矛先が私に向くのが怖くて、何も言えなかった。


『瑠璃、もう泣くなって。大丈夫だから』


瑠璃がゆっくり顔をあげた。


その目には確かに涙が溜まっていて、頬には涙の筋が何本もついていた。


嘘泣きで本当に涙を流せるんだ。


なんて腹黒い女なんだろう。


だけど、碧がいる手前何も言えない。
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