きらめく星と沈黙の月

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「…はぁ……」


何やってんだろ私……。


野球にはもう関わらないって決めたのに、結局ここに来てしまう。


碧の姿がよく見えるこの旧校舎屋上に。


初戦まであと1週間。


あれ以来、なんとなく碧と気まずくて、一言も話していない。


碧の邪魔をしちゃいけない。


その思いが強すぎて、碧に話しかけるのが億劫になってしまうんだ。


碧が被せてくれたキャップもまだ返せていない。


なんでこんなに上手くいかないんだろう。


野球以外なら、いつも通りに接することだってできるはずなのに。


やっぱり、野球と日常をキッパリ切り分けることなんてできないなかな。


野球には絶対干渉しない代わりに、日常生活では普通の幼なじみでいる。  


そんなこと、できないのかな。
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