きらめく星と沈黙の月
「少なくとも、星矢はもう割り切ってるんだよ。だからいいんじゃない?応援しに行っても」


「うーん…」


私が引きずってるんだ。


二度と野球に関わるな、と言い放った碧が忘れられなくて。


あの事件での碧の剣幕が忘れられなくて。


たしかに碧はあのあと謝ってくれた。


でも…私の傷は想像以上に深かったみたいだ。


「ったく。桜が乗り気じゃなくても、私が球場まで連れていくからね」


陽菜はそう言ってニヤリと笑った。


陽菜は陽菜なりに、私が過去のしがらみを取っ払えるように計らってくれてるんだろうな…。


きっとこれは神様が与えた試練、乗り越えなきゃいけない壁なんだ。


「わかった。行くよ…」


碧が来ていいって言ってるんだから。


だから大丈夫。


大丈夫…だよね……?


向かうは球場。


足が重く感じる。


「なに不安がってんの。うちの絶対エースを見れば、過去のしがらみなんてどうでもよくなると思うよ」
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