きらめく星と沈黙の月

いろんな不安

翌日、もっとも最悪な事態が発生してしまった。


「鈴宮楓子です。一生懸命頑張るので、よろしくお願いします!」


二度と顔を見たくないと願った相手。


野球部に関わらせまいと誓った相手。


「なんであんたが…」


選手のサポートをする気なんてないくせに…っ。


なんでこんな女がマネージャーを…っ。


「桜子先輩、陽菜先輩、よろしくお願いしますね」


神経を逆撫でするような甘ったるい猫なで声。


1年生から“可愛い…”という声が漏れているのが聞こえる。


「……。よろしくね、楓子ちゃん」


陽菜が拳を握りしめて震えている。


声はいつも通りなのはきっと、部員に余計なことを悟られないため。


陽菜は苛立ちを隠して付き合っていくつもりなんだ。


部の雰囲気を守るために。


「桜子先輩も…仲良くしてくださいね」


「えぇ、もちろん」


火花が静かに散る。


本当の闘いが今、始まったんだ──。
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