きらめく星と沈黙の月
「なんで桜が泣いてんだ。ほんっと、お前らはどっちも変わんねぇなぁ」


「だってぇ…」


泣けてくるじゃん…。


ずっと甲子園に行くと言い続けていたちびっ子が成長して、本当に夢を掴んだんだよ?


泣けるに決まってるじゃん…。


「桜も桜で、ずっと碧の応援してたもんな。碧が甲子園に行けるって信じて疑わなかったし」


監督が懐かしそうに目を細めた。


「監督ー!!フォーム見てください!」


バットを持ってグラウンドで叫んでいるのは、さっきのピッチャーくんだ。


「ゆっくり話せなくてごめんな」


「いえ。こちらこそ、お邪魔してすみません」


立ち去ろうとする監督が、再度立ち止まり、テントに戻ってきた。


「教え子の中で甲子園に行くやつはお前が初めてだ。第一号にふさわしい結果持って帰ってこいよ?いいな」


「了解っす」


監督は、返事が軽い碧にフッと笑い、相変わらずだなという言葉を残して去っていった。
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