きらめく星と沈黙の月
「ホントかよ」


─パンッ


手元に収まった白球。


今日は俺一人だ。


俺一人でこれを投げなければならない。


ジッと球を見つめると、そいつに嘲笑われている気がした。


お前にできんのか?控えがいない状態でマウンドに立つ勇気と覚悟はあんのか?


そう聞かれた気がした。


いくら学校行事でも、勝負は勝負。


負けたくない。


「碧」


「お、おう!悪い!」


慌てて投げ返したボールは、明後日の方向へ飛んでいってしまった。


「星矢…あんたホントに大丈夫なの?」


見かねた3年のマネが俺に駆け寄ってくる。


「大丈夫っすよ。こういう状況の方が燃えるんで」


「…ならいいけど。無理して故障しないでよ?大事な時期なんだから」


「俺以外、誰が投げんすか?俺以外いないんなら、無理してでも投げねぇと」
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