好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~

思わぬ出会い…空

「おじさん、これ見ていい?」
「はあ?」

おじさんって誰だよ。俺か?
突っ込みを入れそうになって、やめた。

「いいぞ」

大地が手にしていたのは俺が気に入って集めているマンガ。
少し前のスポーツものだが、学生時代から何度も読み返している名作だ。

「ありがとう」
本棚から数冊を手に取りリビングの床にゴロンと寝転ぶ大地。

子供の頃、ちょうど俺がこの子くらいの頃はかわいげのない子だった。
『なんで俺の家は周りと違うんだ』と文句ばかり言っていて、反抗ばかりしていた。
間違っても『ありがとう』なんて言葉を素直に言える子じゃなかった。

「もうすぐお母さんが来るからな」
「うん」
元気のない返事。

それでも、このまま逃げ続けることはできない。
自分の行動には責任を持たなくちゃな。
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