好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~

もう恋はしない…礼

「遥、どんな様子?」

電話を切った私に高野君が聞いてきた。

「うーん、参ってはいるけれど、まだ何とか持ちこたえているって感じ」
きっと本心では、かなりつらいんだろうと思う。

「遥は俺と違って外にあたったりしないからな」
「え?」
「正反対ってそういう意味だろ?」
「それは、」

昨日1日連絡が取れなかったことを注意され、朝からデスクの上に並べられた私の携帯。
遥からの着信にも高野君が気づいてくれて、結果的に専務室の高野君の前で遥と通話をすることになってしまった。
当然内容は筒抜けになるわけで・・・

「大体さあ、何で遥は『遥』って呼ぶのに、俺は『高野君』なの?」
「それは、」
「俺のことも名前で呼んで」
「でも、遥だって仕事の時は『専務』って呼んでいるし、」
いきなり名前で呼べって言われても・・・

「じゃあ、2人の時は名前で呼んでよ」
「えぇー」
「遥も雪丸さんも呼び捨てじゃないか」
「それは、そうだけれど」
「ほら」

「えっと・・・空?」
うわ、すごく恥ずかしい。

なぜだろう高野君のペースで話が進んでいく。
この人こう見えて、案外策士で駆け引き上手かもしれない。
私、もしかして、まずい人につかまったのかも。
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