バルドゥルさんのおかげでこの頃は人間が首輪なしで街を歩いていても、襲われる危険は少なくなった。
それもあって最近は村から買い出しに来る人間もちらほらと見かける。
とはいえ、危険はゼロではないので、親人間派のボランティア護衛を雇ってではあるけれど。

食後は親子、向かいあって本を読む。
私の息子は本を読むのが好きだ。
まだ六歳だというのにもう、アレクさんのところで本を借りて読んでいる。
アレクさんも口では人間なんて……とか言いながら、師匠と呼ばれてまんざらでもないようだ。

「そろそろ寝るぞ」

「はーい」

寝る前にいつも、レオンは薬を飲む。
人間中毒を抑える薬だ。
これが開発されたから、闇市から人間の肉が姿を消したというのもある。

「おやすみ」

「おとーさん、おやすみなさーい」

今日もレオンは息子を抱き締めて、ベッドに入った。
傍らの机の上にはレオンと私の肖像画が並べて置いてある。
どちらの左手薬指には、花の指環が描いてあった。

「……おやすみなさい」

仲良くふたりが寝息を立てだしたのを確認し、私も眠りにつく。
私はいつだってレオンと一緒。
これまでも、これからも……。


【終】

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