朝、起きたら肩の傷は痛まなくなっていた。
いや、それどころかけっこうな深さだったのに、もうほとんど塞がっている。

「アプリコットは治癒魔法にたけているからな。
薬草もよく効く」

朝食を食べながらレオンさんが教えてくれた。
あのうさぎさんはかなり優秀らしい。

今日も朝食はサンドイッチだった。
もしかしたらパンに挟むだけで手早くできるから、かもしれない。

「とはいえ、まだ全快したわけじゃないからな。
チハルはのんびりしておけ」

「……はい」

うー、いままで社畜だったから、のんびりってどうしていいのかわからないんだよね。
奴隷の檻の中ですら、なにもすることがないのに恐怖を抱いてしまっていたくらいだ。

食事が終わり、レオンさんは仕事があるからと部屋を出ていった。
皿は洗わなくていい、絶対に外に出るなと何度も私に言い聞かせるのは忘れない。

「そんなに繰り返さなくなって、大丈夫なのに」

絶対、絶対だぞ! と数歩ごとに振り返って言うレオンさんを思いだしておかしくなってくる。
しばらくは淹れてもらったお茶を飲んでいたものの、それも飲み終わると本格的に暇になった。