「こんにちは、チハル。
今日は暑いね」

チリリリン、とベルの音とともに入ってきたのは、羊のマーシーさんだ。
今日は私でも少し暑いな、と思っていたし、もこもこの毛を着込んでいる彼はさらに暑いだろう。

「こんにちは。
すぐにお飲み物をお出ししますから、ちょっと待ってくださいね。
……レオーン、マーシーさんがお見えですよー」

仕事に集中しているレオンに声をかけ、裏に行く。
レオンの家で暮らしはじめてひと月ほどがたった。
最近は常連の依頼人なら私を怖がらず、普通に接してくれる。
ちなみにレオンさんと呼ばれるのは気持ち悪い、とのことで早々にレオンになった。

「冷たいのがいいよね」

とはいえ、ここには冷凍庫はおろか冷蔵庫すらない。
獣人なら魔法で氷が出せるが、私には無理だし。
少し考えて、かなり濃いめにお茶を準備した。

「レオン、すみません。
ここに氷をお願いできますか」

「ん?
別にいいが」

マーシーさんに断り、持ってきたカップへレオンに魔法で氷を入れてもらう。
そこへ、準備しておいたお茶を注いだ。

「アイスティです。
お口にあうといいんですが」