悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
ある日の勉強終わり、ナタリアはギルに話があると切り出した。

外はもう日が暮れ、闇に包まれている。

「どうされたのですか?」

「あの、驚かないでね。あなたを信じて言うけど……私、この城から逃げようと思っているの。身分も肩書きも何もかもを捨てて、ひとりで生きていくことに決めたから」

真剣に物語るナタリアを、ギルは何も言わずに見ている。

「それで、逃亡の際はあなたに力を貸してほしいの。前に港町に連れて行ってくれたときのように。最近は警備が厳重だから、前よりも大変だとは思うけど、あなたならやってくれるって信じてる」

緊張しながら、ギルの反応を待つナタリア。

やがてギルは、どこか嬉しそうに微笑んだ。

「いつかはそのようなことをおっしゃるだろうと、ずっと思っていましたよ」

「そうなの?」

「ええ。あなたの意識は、幼いころからずっと外の世界に向いていましたので。驚くというより、むしろ納得しています」

ナタリアは、ホッと息をついた。

やはりギルは、ナタリアの一番の理解者だ。

「では、力を貸してくれるのね?」
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