溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
恋情が募って、あふれて

 維心さんからの旅行の提案は、意外だったけれどうれしかった。

 だって、私が生理中だとわかっていて誘うってことは、目的は子作りじゃない。純粋に夫婦で旅行を楽しもうって、言ってもらえた気がしたのだ。

 だけど……。

『悠里の生理が明けるまでの間は……別々のベッドで寝て欲しい』

 まるで冷や水を浴びせるような彼の発言で、浮かれていた気分は一気に落ち込んだ。

 旅行には誘って、一緒のベッドに入るなというのは、どういう心境なんだろう。

 本当は自分ひとりで別荘に行って息抜きがしたかったけれど、妻に声を掛けないわけにもいかない。だからといって生理中で役に立たない妻とは、隣で寝たくもないってこと?

 その日、ひとりで自分のベッドに横になった私は、モヤモヤとした感情に心を占領され、なかなか眠りにつけなかった。

 深夜になってようやく浅い睡眠を何度か繰りしたけれど、結局ちゃんと眠ることができず、喉の渇きを覚えてのそりとベッドを抜け出す。

 スマホで時間を見たら午前三時過ぎ。朝までどう時間を潰すか考えると憂鬱になった。

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