溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
甘やかされる妊娠生活

 維心さんと思いを伝え合った数日後、仕事の後で私と維心さん、そして弟さん夫婦で初めて食事をした。

 つわり症状は精神的なものも大きかったようで、その後はほとんど感じなくなっている。

 玄心さんが予約してくれたフレンチレストランの個室に四人集まると、注文を済ませて挨拶を交わした直後、美久さんが涙ながらに私に謝罪した。

 同時に玄心さんからも、「あんな行動を取らせてしまうほど、美久を追い詰めたのは俺だ」と頭を下げられる。

 確かに美久さんの存在にはやきもきさせられた部分もあるけれど、そうなったのは私と維心さんという夫婦の地盤がもともとしっかり固まっていなかったからだ。自分たちの未熟さを棚に上げて、ふたりを責めることはできない。

「いいんです。今回の件で、維心さんの気持ちがようやく分かったから、むしろいいきっかけでした」
「その件に関しては、本当に申し訳なかった」

 弟さん夫妻に向かってにっこり微笑む私の横で、維心さんが小さくなる。そんな私たちを見比べた玄心さんが、おかしそうに笑う。

「悠里ちゃんのおかげで、兄貴が少しずつ人間らしくなってきたな」
「……俺は最初から人間だが」

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