溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
嘘でもいいから

 翌朝、家に朝食の材料がなかったので出勤の準備を済ませてからふたりで近所のパン屋に出向き、イートインスペースで朝食をとることにした。

 窓からは周囲に植えられた広葉樹の緑と、朝日に煌めく東京湾が見える、景色のいいお店だ。

 思い思いに選んだパンとコーヒーを乗せたトレーを手に席に着く。そしてコーヒーと焼き立てパンの香ばしい香りに包まれて食事をしながら、維心さんからお父様の状態について聞いた。

 お父様の骨折箇所は足首で、手術の必要はなくギプスを使った保存的治療になるそうだ。

 仕事に穴をあけられないというお父様の強い希望で、入院は今日の昼まで。無理はしないという約束で、明日からはからさっそく仕事にも復帰するそうだ。

「では、土曜日の食事会は?」
「車椅子で参加するそうだよ。まったく、治りが遅くなったら自業自得だ」

 維心さんは渋い顔をして、コーヒーに口を付けた。

「私は延期でも構いませんから、お父様の怪我が治ってからの方が」
「俺もそう言ったんだが、父はどうしても早くきみに会いたいらしい。酒は絶対に我慢するからって、逆に頼み込まれてしまった」
「そうでしたか」

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