「あら……?」

 柚瑠木(ゆるぎ)さんを仕事に送り出してから朝食の片づけを済ませ自室に入ると、私の机の上に何かがある事に気付きました。不思議に思って机に近付いてみると、そこには小さなヘアーアクセサリ―が二つ置いてありました。
 私の持っているものではありません。そのつまみ細工のアクセサリーは、大人っぽいブルーのお花と可愛らしい丸みのあるピンク色の物。
 既製品と違い優しさの感じられるそれは、どちらもハンドメイドの作品だと思います。

「柚瑠木さん、ですよね……」

 私の机にこうして物を置くことが出来るのは、自分以外には彼しかいないのですから。ですが朝、家を出る時も柚瑠木さんは何も言っていなかったのに……
 彼からは前にもアクセサリーをプレゼントしてもらったことがあります。その時は私の好きなショップのガラス細工の綺麗な紫陽花のイヤリングでした。
 つまみ細工のヘアアクセを手に取ってジッと見つめます。
 これを作ったのが女性だったとしても、きっと今度は嫉妬の気持ちは湧かないでしょう。今一番柚瑠木さんに愛されているのは私だと、自信を持てるほど彼は私の事を大切にしてくれているから。

「そう言えば……」

 明日は前から柚瑠木さんと約束していた二人でのお出かけ、彼はこの日のためにわざわざ仕事のお休みまで取ってくれたのです。秘書の霧島(きりしま)さんに相当無理を言ったようでしたが……

「この日は月菜(つきな)さんの誕生日なのですから」

 と、そう言って優しく微笑んでくれて。