大っ嫌いなのに………

和樹くんとは長い付き合いだから、私が無理していることなんて簡単に見ぬいてしまう。

「診察道具持ってくるからここで大人しく待ってて 」


そう言って私の部屋を出ていった和樹くん。


和樹くんはいつも私のことばっかりだ。


私と和樹くんは親子でも兄弟でもない。

他人なのに物心ついた頃から和樹くんは私のそばにいる。


私の親は私のことを生まれたとき病院に置いていった。

理由ははっきりと聞かされたことはないけど大体は予想がつく。

身体が弱くて持病があるからだと思う。


親がいない私は病気の状態が良くなったら施設に行くはずだった

だけど、その時主治医だった和樹くんが親代わりになって私のことを引き取ってくれたんだ。
 

周りからみれば親に捨てられるなんてかわいそうだとかって思われるけど、そんなことはない。


私のことを捨てた親の記憶というものがないから寂しくもないし

私の中には和樹くんとの楽しい思い出ばかりだから、とても幸せ。


唯一不満があるとするなら、和樹くんがお医者さんで私が嫌がっても無理矢理診察されて治療されることくらいかな………


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