導かれて、放れられない
「また、奴等か…」
天聖が呟く。
「やはり、殺っておいた方がいいのでは?」
増見の言葉。

「あぁ…でも、安易に手を出すとまた……」
「そうですね……またあの時のように、一般人を巻き込むことになりますね…」

この剛田会との抗争。
桔梗も深く関わっている。
しかしそんなこと、今の天聖達にはまだ知るよしもない━━━━━━

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
マンションに帰り、寝室に向かう天聖。
出ていった時と同じ姿で、眠っている桔梗。

天聖はベット脇に座り、桔梗の頭を撫でた。
「んん……」
フニャッと笑って、すり寄ってきた。
「フフ…可愛い……」
「………」
「桔梗…」
「………」
「桔梗」
「………」
「……ごめんね…」

天聖もゆっくり腕を桔梗の首の下に差し入れ、横になった。

そして、夜が明けた。
桔梗が目を覚ますと、天聖が見つめていた。
「ん…あ…天聖、さん……」
天聖にすり寄る、桔梗。
「フフ…おはよ、桔梗」
「おはようございます」
「ご飯食べよ?」
「はい」

リビングに向かい、増見の作った朝食を食べる。
「………あの、何でしょう?」
「え?あ、ごめんなさい!」
ジッと増見を見てしまっていた、桔梗。

「桔梗」
「え?」
「増見なんか見ないで、俺を見て?」
桔梗の顔を覗き込んで言う。
「あ、いや…そうじゃなくて、増見さんって何でも出きるんだなって見てたんです。
ごめんなさい……」
覗き込んでいる天聖の顔を見て言った。

「まさか、惚れた?」
「え?」
「………」
「違います!そんなわけ……」
「…だよね……俺達はそんな簡単な関係じゃないもんな」
「はい」
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