導かれて、放れられない
予兆
「腕、絡ませて」
「桔梗?」
「耳元で、囁き合って」
「………」
「お似合いだった」
「桔梗」
「私は、天聖さんにつり合わないけど、運命の相手なんですよ!
メリットなんかないけど、天聖さんが放れたくないって言ってくれたから、傍にいてって言ってくれたから私は天聖さんの望みを全部叶えたいんです」
「どうしたの?誰にそんなこと言われたの?」

「天聖さん」
「ん?」
「私のこと好きですか?」
「うん、好きだよ」
「じゃあ…証明してください」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
自宅マンションの寝室。
ベットの上に座る天聖に跨がり繋がっている、桔梗。

「はぁはぁ…天聖さん、もっとして?
もっと…キスしてください…苦しいやつ…」
桔梗は先ほどからずっと、天聖にキスを求めていた。

「うん…いいよ」
「ンンン……んぁ…」
桔梗から溢れている涙が、天聖に伝う。
愛し合うことは、こんなに苦しいものなのか。
嫉妬とは、こんなに痛いものなのか。

ただ、苦しくて痛い……その思いを天聖にぶつけていた。

「ごめんね…桔梗に苦しい思いをいっぱいさせたね…」
「天聖さんが、クラブに行くことを禁止にするつもりはないんです。
それもお仕事だし。
でも…必要以上にくっつかないで下さい」
「うん…わかった」
「ごめんなさい…やっぱ、ワガママですよね?
こんなお願い」
「ううん、もっと言って?
桔梗のお願い、何でも聞くよ。
桔梗が傍にいてくれるなら、何でも叶えてあげる」

「じゃあ…今日はずーっとくっついていたいです」
< 45 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop