冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
翌朝、見慣れない部屋で目が覚めた。
一瞬どこにいるのかわからなくなりキョロキョロすると隣で響さんが寝ており驚いた。

ぎゃーっ、と大声を出さなかったことを自分で褒めたい。

どうしてこんなことに? 

私の記憶はソファまでしかない。

私がベッドに座り込み悩んでいたがこうしてはいられない!

慌ててベッドから降りようとしたら手を滑らせ頭から落ちてしまった。

どすん…。
凄い情けない音がしてしまう。

響さんが飛び起きる音がした。

「玲奈!」

「…はい…」

「どうした?落ちたの?」

「はい…」

「寝相が悪いの?痛いところない?」

「寝相は悪くないです!!!降りようとしたら踏み外しました。」

「ププ…玲奈はしっかりしてると思ってたけどウッカリだなぁ。」

「起こしてごめんなさい。」

「いや、いい目覚めだったよ。足だけ見えた時は驚いたけどさ。犬神家かと…プププ…」

「ひっどーい!しかもなんなんです、それ。古いです。」

「おじさん扱いするなよ…ワッハッハ…ごめん、止まんないや。犬神家〜。」

もう!私はどうしてここでこうしてるのかなんて忘れて洗面所へ行った。
おでこがちょっと赤い。

確かにうっかりだけどさ!
あんなに笑わなくたっていーじゃない。

顔を洗い、着替えをしてキッチンへ戻ると響さんが朝食の準備をしていた。

「玲奈、目玉焼き食べる?作ってあるよ。コーヒーも飲むだろ?」

「ありがとう」

「昨日のパンだから俺たちパンばっか食べてるな。でもここの美味しいなぁ。」

「あ、ヨーグルトもありますよ。タンドリーチキンに使った残りがあります。バナナ入れましょっか。」

「バナナヨーグルトなんて何年ぶりだろう。子供の頃以来かもしれないな。」

「そうですか?私は時々しますよ。砂糖の代わりに甘いから入れてます。」

「健康的だな。それはそうと、今朝驚かせたよな。ごめんな。昨日寝ちゃったから寝室へ連れて行こうと思ったけど勝手に部屋に入ったらダメだと思い引き返してきたんだ。で、俺の部屋ならベッドも大きいから、と思ってさ。」

「運んでもらってすみません。重かったでしょう…。」

「いや、軽かったよ。飲ませすぎた?ごめんな。」

「ううん。飲み過ぎってことはないけど緊張の糸が切れたんだと思う。響さんとあんなに話すの初めてだったから緊張してたの。だから普通にできて安心しちゃったの。」

「そうか。友人として1年仲良くやろうよ。」

「はい。」

「それでさ、何か習い事なり、資格なり取るかって話してただろ。考えてみた?」

「本当は次の仕事を見つけるために資格がいいと思うんですけど何系の仕事をしたいのか分からなくて。辞めた会社も結局事務でしたし。」

「ま、焦らず探したらいいよ。」

「はい。」
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