午後八時十七分、シャッター横の路地裏で、
午後八時十七分、

 大会前を除いて、己の所属するバトミントン部は午後七時半にその活動を終了する。
 そこから、片付け、着替え、多少のお喋りを挟んでから帰路につく。同じ部の後輩や友人とは途中まで道のりは同じ。しかし私以外は電車通学のため、電車組と別れてしまうと私はひとりになる。
 バイバイ、また明日。
 そう言って手をふって、後輩や友人を見送ってから、道を二十メートルほど進めば馴染みの花屋が見えるのだけれど、その前を通るとき、私はなるべく早足で通り抜けるようにしている。

「みっちゃん」

 へにゃり。
 既にシャッターの閉まった花屋の前で、何とも間の抜けた笑みを浮かべながら、私に向かって手を振る男がひとり。

「お帰り、みっちゃん。今日も部活、おつかれさま」

 私が早足になる理由はもうお分かりだろう。この男だ。
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