旦那様は征服者～琉聖編～

狂っていく

｢おはよう、小梢｣
｢円佳！｣
｢あ、結婚おめでとう！｣
｢ありがとう！｣
｢ほんとはお祝いしたくて、昨日食事に誘ったのになぁ～｣
｢あ、ごめんね…琉聖に許可が必要なの…｣
｢許可？｣
｢うん｣
｢なんか、それって━━━━｣
｢あー言わないで！｣
｢小梢？｣
｢わかってる。円佳が言いたいこと…
でも、琉聖のこと好きだから……｣

｢小梢……｣
円佳はなんとも言えない気持ちで小梢を見ていた。

｢係長、これ…お願いします｣
小梢は結婚したため、結婚届などの書類を提出する。

｢ん？月島…って、小野さん…結婚したの？｣
園田は目を丸めて驚愕する。
｢はい｣
｢………そう、なんだ｣
｢え？あの…？｣
｢ううん、下がっていいよ。｣
｢？？｣

そして昼休み━━━━━
琉聖から着信が入る。
でも小梢は、まだ仕事がたて込んでいて全く気づいていない。


｢なんで、繋がんないの～？｣
琉聖は何度も、何度も…間髪を入れず電話をかける。
小梢のスマホの着信履歴が増えていく。
｢琉聖さん、飯食べないんすか？｣
｢………｣
｢琉聖さん？｣
利郎が話しかけてるのも気づかないくらい、スマホを握りしめひたすら電話をかけていた。

小梢はやっと仕事が一段落つき、遅い昼食をとろうとスマホを何気なく確認した。
｢え……？93件…？｣
たった30分間で、琉聖からの着信履歴が93件も入っていたのだ。
｢こ、怖い…｣
早く折り返さなければ……と思うのに、手が震えて操作できない。

｢小野さん？どうしたの？｣